【入替】途中から出場するリザーブメンバーに求められる準備【インパクト】

ラグビーリーグワン クボタスピアーズ船橋東京ベイ アシスタントコーチの今野です。

下記の質問を頂いたので、今回は「リザーブメンバーとしての準備」について書いていきます。

先日サッカー番組を見る機会がありました。そして途中出場の難しさを知る事が出来ました。

監督に「行け!」と言われた時に準備ができていなければ次の機会もレギュラーも遠くなってしまいます。
試合の流れを見ながら自分の出番を予想して身体や気持ちを良い状態に持っていくそうですが、やはり最初から試合出場しているレギュラー陣のトップスピードや意識にすぐに追いつくのは大変だそうです。

今野選手はバックボーナーズとして試合に参加する場合は、身体や気持ちを試合にいち早く順応させるためにどんな準備をしていますか?

 

1.控えメンバーの呼称について

それでは本題に入る前に、質問の中の「バックボーナーズ」という言葉に少し認識の違いがあったので解説します。

質問の中で登場したバックボーナーズは、リザーブメンバーではなく完全なノンメンバーの事を指します。

◆メンバー外選手の呼称の変遷

TL19-20「BACKBONERS」

由来:「背骨」という単語の意味の通り、チームを支える存在。

TL20-21「BOLTS」

由来:締めるネジ。チームテーマが”戦艦”だったので、部品を止めて支える事から。

LO21-22  「WINGS」

由来:チームテーマが ”オレンジベレー”(特殊部隊のグリーンベレーより引用)だったので、戦闘機の僚機から。また、メンバー達が高く飛び上がれるようにという意味も込めている。
LO 22-23「BOOST」 由来:チームテーマがF1なので、レースカーであるメンバーを加速させるような存在である。

メンバー外の選手は、その週の対戦相手の動きをコピーしたり、強度が高い練習ではメンバーに対してプレッシャーをかけ、試合に向けて良い準備ができるようにするという役割があります。

試合に勝利した後に、「今週は対戦相手よりボルツの方が良いプレッシャーをかけてきてくれた」と言わせられるように、普段チームでは使わないムーブや決め事でも再現+やってきそうな事も仕掛けていきます。


⇧例えばこのように、やる事をホワイトボードにメモしてパッとその場でやったりします。短い時間でどれだけクオリティを高くできるかが肝です。

2.リザーブメンバーの苦労

続いて、ご質問に該当するリザーブメンバー(16~23番)に関してです。

ゲームに勢いを与えるという意味でインパクトメンバー(プレイヤー)と言ったり、終盤に出ていって落ち着いてゲームを締めるという意味でクローザーと言ったりします。
まぁこの辺りの表現はチームや監督の好みなのかなと思います。

質問の通り、確かにリザーブの時は試合に出ているメンバーと同等の気持ち・身体の準備をするというのは大変です。
特にシーズンの序盤は寒さが堪える時期が多いので、どんなに対策をしてもウォーミングアップで温めた身体はどんどん冷えて行きます。

その為、適宜自分で身体の状態をコントロールして試合に入れるように準備をします。

ただ、サッカーと違う所は、交代人数に制限がない為、多くの場合リザーブメンバーのほとんど全員が出場するという事です。
この「出るかどうかもわからない」のと「ほぼ必ず出る」という状況では心の準備が大きく違うと思うので、サッカーは更に大変だなと思います。

3.私がリザーブメンバーの時の準備

私がリザーブメンバーで入っている時は、長い時間座っていると身体が固まってしまう&積年のダメージで古傷が痛んでしまうので、約10分毎にバイクを漕ぐことが多いです。(21年4月現在は、久しく出てないですが…笑)

キックオフから20分程経つとS&Cコーチに連れられてリザーブ全員でインゴールで動きます。
その時には少しダッシュをしたり、軽く身体も当てておきます。
基本的に前半はアクシデントがない限りは出番はないのでこんな感じです。

ハーフタイムは、フィールド内を使えるので、このタイミングでもまたダッシュを数本しておきますが、後半頭から入る予定ならしっかり身体を当てておきます。

あとは、試合の状況を見ながら「いつ頃に交代の指示が来そうかな?」と予想しながら残りの時間を過ごします。
場合によっては、「そろそろ出してくれないかな?」という感じで、上から見ているかはわからないけど動いてアピールしておきます。
あまりにもお呼びがかからないと、ベンチの横でチラチラ上を見ます(笑)

そして「あと何分後の予定」、「このプレー切れたら入るよ」等言われたら、上着を脱ぎ、強めに身体を当ててからスタッフと共に所定の場所へ向かいます。

交代となってフィールドに入る時は、15mラインまでダッシュをして試合に入ります。
準備の流れとしてはこのようなイメージです。

まぁ色々外で準備をしていても、試合に入ると「本当に俺は交代で入ったのか?既に60分くらい走ってるんじゃないのか?」と疑いたくなるくらい思った以上に息があがる事もあります。
そこを何とか踏ん張っていると良い感じに流れに入っていけるので、最初の1、2プレーくらいは気合いで何とかついていくという感じかもしれません。

私の場合はこんな感じです。

まとめ

確かに準備は大変ですが、途中から試合に入るメンバーがどれだけインパクトを残せるか?という事は、チームにとってとても重要です。

試合をイメージしながら、
自分がどんな役割を果たさなければいけないのか?
展開ならこんなプレーや話をした方が良いかな?
と考えて、他のメンバーと共有しておくと、タフな試合展開でも自分の持ち味を発揮して勢いを与える存在になれるでしょう。

ファンの方は、インゴールでウォーミングアップをしているリザーブメンバーの様子を見て「あの動きしているなら ”そろそろ出るぞ” って言われてそう」等、予想して見て下さい👍

 

追記:他の選手の声 (21年シーズンのコメント)

クボタスピアーズOBで現・清水建設ブルーシャークス所属 立川直道選手

僕は全体ウォーミングアップを5割ぐらいの強度に抑えます。チームとして試合に向かう雰囲気を作る必要があるので、声や顔はMAXテンションです。 試合が始まってから徐々に上げていき、ハーフタイムで100%もっていくイメージ。 前半、急なアクシデントがあって出ることになったら割り切りです。

クボタスピアーズ 青木祐樹選手

リザーブを初めて経験した時は、まだかまだかと、待ち疲れしてしまっていたので、今はハーフタイムと後半に息を上げるようにコントロールしています。しかし、どんなに準備しても、今野さんのノートにも書いてあるように、最初の10分は信じられないくらいキツいです。笑

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今回は以上です。

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