はじめまして!小学一年生の子供がラグビーをしていて試合も増えてきたのですが、なかなか勝てず楽しむだけのラグビーからステップアップが必要になったと感じます。
強くなるために小さい頃にこんな事をしていたら良かったなどのエピソードがあれば教えてください。
という質問を頂きました。
ステップアップと言うと良いことのように感じますが、勝てずに楽しむだけと言うのは悪いことなのでしょうか?
特に小学校1年生と言う事を考えると、「楽しむ」を深堀りしていく事が結果的に勝つことにも繋がっていくのではないかと考えました。
私は、トップチームのコーチで普段付き合っているのは20代前半から30代の選手たちで育成年代のコーチをしているわけではありませんが、スポーツに関わる人間として、今回は下記3つの視点で私の考えを書きます。
ご参考になれば幸いです。
- 自身の子ども時代の経験を思い返してみる
- 親として見たらどうかな?
- コーチの立場として
目次
1.自身の子ども時代の経験を思い返してみる
まずは、自分が小学生時代を思い返してみて、ご質問の「強くなるために小さい頃にこんな事をしていたら良かったな」というエピソードについて書きます。
私がラグビーを始めたのは高校生からなので、小さい頃にラグビーを意識した生活はしていないという事を前提でお読み下さい。
良かったと思うことは、下記3つです。
①色々なスポーツをやったこと
②それを通してキャッチが上手くなったこと
③基本的にスポーツが得意という意識、自信があった事
① 色々なスポーツをやったこと
といっても小学校低学年時は、週末はサッカースクール、平日にスイミングスクール、あとは父親、兄弟とキャッチボールをしたりくらいでした。
時々、長期休みで1週間連続の体験講座のようなもので、体操や柔道に行っていましたが、「役に立つから」と言う意識はもちろんなくて、とりあえず「なんか楽しい」というイメージだけでした。
そもそもメインでやっていたサッカーも兄の影響ではじめて、意外とできるし「まぁ友達もいるから」という理由で続けていたので、「勝つために」や「将来のために」と思ってやっていた事は特にないです。
ただ、結果的に高校で初めて出会ったラグビーを選択したと言うのは、色々なスポーツをやっていたから「これじゃないと嫌だ」と言うこだわりがなかったからと言えるのかもしれません。
② それを通してキャッチが上手くなったこと
とはいえ、何かラグビー選手として生きたことがあるかな?と考えてみると、キャッチが上手くなったことが最初に出てきました。
元々身体が大きめだった事、喘息持ちで長く走っていられない事もあり、サッカーをやっていた時はゴールキーパーをしている機会が多くありました。
当時入っていたサッカースクールでは、フィールドプレーヤーとゴールキーパーで別れたスキル練習がありましたが、ゴールキーパーなんてそう何人もいる訳ではないので、ほとんどの場合コーチと1対1で時間を持て余しながら練習をしていました。
20数年前の小さい市のサッカースクールでは、コーチと言っても自身の競技経験、指導経験もあるかはわからない「〇〇君のお父さん」がやってくれているレベルでした。
ただ、そのコーチがコーチ自身が飽きても当然のような子どもに合わせた基礎的な練習を毎週のように繰り返し行なってくれていたので、基本的なキャッチングスキルはこの時に学んだと思います。
※言い方に棘がある書き方にみえますが、今自分がコーチをしていて「新しい刺激は大切だけど、同じことをし続ける事も大切」という事を選手時代よりも感じているので、当時情報が少ない中で週末のコーチのために色々準備してくれていたのは本当にすごいと思います。
球技を行うならキャッチのスキルは何にでも使えるので、遊びの延長で色々やると良いかもしれないですね。
③ 基本的にスポーツが得意という意識、自信があった事
なんか嫌な感じの奴ですが、元々そこそこ運動ができるという自信があったので、ある程度の自信を持って色々チャレンジできたと言うのが大きいのかなと感じています。
私は2歳上の兄がいますが、兄も運動神経は良いと言われている方で、運動能力テストの種目によっては学年トップを争うくらいでした。
しかし、小学校入学後のテストでその兄とほぼ同じ記録を出し、中には勝ってしまうと言う事もあったので自然と「俺同い年相手だったら全然いけるわ」と言うメンタルが形成されていたのだと思います。
こんな事を書いていると嫌なやつ感が更に強くなってくるのでそろそろ終わりにしますが、全てのスキル、能力で飛び抜けている人なんてほぼいないので「それなんかできる気がするー」と言うイメージをつけられるように、レベルを気にせず自分自身がやれそうな事をやってみて、その中で得意な事を更にやって、小さい成功を積み上げて自信をつけると言うのが良いのかなと考えています。
因みに、上にも書きましたが喘息持ちだったのですが、それを逃げ道にして持久走は一切頑張れなかったので、マラソン大会は学年ビリを争うくらいでした。(兄はほぼ毎回メダルを取っていたので嫌な感じの弟がいてもひねくれませんでした)
2.親として見たらどうかな?
続いて、私も子どもがいるので「親として見たらどうかな?」と言うのを考えてみました。
シンプルな話、「楽しかったらなんでもいい」です笑
楽しさの理由というのは、みんな違うと思います。
例えば、クボタスピアーズでも選手同士、コーチ同士で「なぜラグビーをしているのか?」とか「自分にとって大切にしているものは何か?」のような個人の内面に関わる話をする場を作っています。
話を聞いてみると、選手それぞれが持っている想いは似ている部分もあれば、違う部分ももちろんあります。
なので、「本人がどうしたいか?」という事を念頭に働きかけていければと思っています。
子どもがどうしたいかを理解するのは難しい
と言っても、子どもが本当にどうしたいかを知るのはとても難しいですよね。
上のスピアーズの選手同士の話でも、そういう機会を設定するからこそ自分自身も普段はそこまで意識をしていないことをみんなに話せるレベルに整理して、再認識できるようになります。
「楽しいだけ」がただ友達と一緒にいる事なのか、上手くなっている事なのか、もしかしたら勝つ事なのかもしれません。
勝つ事が楽しいなら「なんで勝つのが楽しいの?」とか「勝てば自分が活躍しなくてもいいの?」とか「どんな勝ち方だったら楽しい?」とか深堀りして、スポーツを通じて子ども本人が「自分はどう考えるのか?」「考え方にどういう癖があるのか?」など自分の事を考える事ができるようになってくれると良いなと思います。
自然と「自分が何が好き(得意)で何が嫌い(苦手)か」「自分が周りに影響を与えられる事は何か?」とか考えられるようになっていると、少し先の話ですが受験の志望動機や就職活動の時にもスポーツの枠を越えて使えるかもしれませんね。
そもそも「勝つ事」=「楽しい」に繋がるのが成立していないと、親やコーチが「勝つためには〜〜〜〜」と話しても「え?何言ってんの?」となってしまうと思うので、バランスが難しいですよね。
偉そうに言っていますが、私自身、子どもは可愛いですが、悪魔的な時もあるので、いつでも優しく丁寧に辛抱強く付き合えるのかは定かではありませんので、どこかのグラウンドで自分の子どもに怒っている場面を見つけても「あぁメンタル乱されているな」と見守ってください。
お互い頑張りましょう。
3.コーチの立場として
最後にコーチとしての意見も書いておきます。
ただ、最初に書いた通り、私は育成年代のコーチではなく、トップチームのコーチをしているので付き合う選手たちは20代前半から30代後半くらいまでの選手たちです。
時にはチームのアカデミーや、地域のラグビースクールに参加しますが、継続的な指導による実体験はありません。
あくまで、現在「うまいなー」とか「頭がいいな」と感じる選手のイメージから、「これ子どもからでも意識したら良いんじゃないか」と感じる事を3つの力を書きます。
① ボールを扱う力
② スペースを見る力
③ 微調整する力
① ボールを扱う力
上でも触れましたが、ボール扱いは球技をやるなら何をしても生かせます。
特にハンドキャッチする事、ハイボールの落下地点の目測、左右両方で扱える事というのは、子どもの時からの積み重ねが影響してくると思います。
トップチームでも常に練習をしていて、最初より格段に上手くなる選手はいますが、元々上手い選手より圧倒的に上手くなる選手というのは稀です。
② スペースを見る力
これは競技特性があり、ラグビーで出来ていたらから他のスポーツでもすぐにできるという訳ではないとは思いますが「どこのスペースを見るか」という考え方が整理が出来ていると、応用はできると思います。
最初からただ「スペースをみろ!」と言ってもできるはずがないので「どのスペースを、何のために見るのか?」という事を整理して、明確にできると良いと思います。
何を優先するかどうかは、色んな人と話をしてみてください。色んな発見があって文字通り視野が広がると思います。
私も、自分がよく関わる部分に対しては詳細をイメージしていますが、正直、例えば10番の選手がどのシチュエーションで、どのタイミングで、何を見ているのか?は細かく説明できません。
そこまで細かくする必要があるのかは分かりませんが、せめて自分が多く関わる状況においては自分はどこのスペースを見ているという意識をつけていくのが良いと思います。
③ 微調整する力
子どもに限らずですが、親やコーチが言った事をそのままやって失敗し続ける事もあると思います。
とりあえず言われた通りにやる事も大切ですが、「なぜ失敗したのか?次はどうしよう?」と考える癖をつける事は必要です。
コーチは基本的な形、キーポイント、実際にどうなっているかフィードバックについてはサポートできますが、最終的にその選手に最も適した動き方は本人が微調整を繰り返してたどり着くと思います。
「失敗は全然OK!次成功するためにどう調整する?」と自問自答できるようになると何をやっても成長できると思います。
まとめ
何が子どもの成長に繋がるのかはやってみないとわからない部分もあるので難しいですよね。
今回の記事は個人的な見解なので、自分が直面した時はまた違う答えを出すかもしれません。
ただ、「勝つ事」に拘っても良いけど、そこまでのプロセスが「楽しい」というのが前提になるようにやっていきたいですね。
長く書きましたが、各項目の中で特に重要だと考えるのは下記の3つです。
結局ラグビーというよりも、メンタルスキルのような結果になりました。
1.自信を持てるように小さい成功が見える事を続ける
2.何が楽しいのか考えて自覚する
3.失敗してもOK!次どうする?の考え方
たくさんの子どもたちがラグビーをやってくれたら嬉しいですが、色んな経験をして大きくなってからラグビーを選んでくれたらそれはまた違う嬉しさもあります。
とにかく、楽しくスポーツをやってくれたら良いですね!
育成年代の事を書いた過去記事
以上
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