ラグビーリーグワン クボタスピアーズ船橋東京ベイ アシスタントコーチの今野です。
下記の質問を頂いたので、私の考えを書いていきます。
子供がラグビーを始めたのですが、恐怖心から中々タックルができません。
他のスクール生はもっと前からやっているのでうまくやれています。
親が経験者なら何らかのアドバイスができると思うのですが・・・
何か良いアドバイスはありますか?
まず最初は私の考え
申し訳ないのですが、正直、何か一つの言葉で解決できるような答えを持っていません。
なので、いくつか書いて行きますが、まずは安全第一です。
「恐怖心が強い状態で、誰かに言われたからってただがむしゃらに頭から突っ込む事はしない」ようにしましょう。
もしかしたらその時はそれで何とかなるかもしれません。
しかし、いつか怪我をします。
気をつけてください。
以上を踏まえて、
私の考えとしては「タックルはかなり危険を伴うプレーだし、正しいスキルで行わないと痛みも強いし、恐いのは当たり前だよね。じゃあ、チャレンジする気持ちが恐怖心を上回るできるようになるまでは段階を踏んだ練習を続けた方がいいんじゃない?」という感じです。
なので、
どうすれば恐怖心を軽減 / 受け入れる事ができるか?
上手なタックルは何か?
というのを学んでいく事と、
非日常である「人にぶち当たる」という行為に少しずつ慣れていく
という事を並行して行っていく事が必要だと思います。
準備が大事
タックルが怖いと言う理由はなんでしょうね?
まぁ私もちゃんと準備ができていないと怖いですね。
引退をして継続的にタックルをしていない今の状況で、いきなり「オペティにタックルしろ!」となっても向かっていける自信はないです笑
やはり技術的、身体的それぞれで不安があるからですね。
久しくタックルに入っていないとタイミングがうまく掴めないし、例えジムでトレーニングをしていてもタックルに慣らしていないと身体はめちゃくちゃ痛いです。
特にスキルがないと、自分の身体の強いところで当たれないので余計痛みは強くなります。
顔で当たった時には「親父にもぶたれた事がないのに」なんて言っていられない衝撃が襲います。
なので、前提として「準備ができていないとみんなそれなりにこわいよ」と言うのは知っていてもいいかと思います。
もしかしたらずっと怖いかもしれないし、人によってはすぐに恐怖心は無くなるかもしれません。
他の人と比べない
質問にも書いてある通り「他のスクール生はもっと前からやっているのでうまくやれている」と言う事は、コーチがちゃんと教えてくれているのだと思うので、少し時間をかければちゃんとみんなできるようになります。
私も以前はスピアーズアカデミーでコーチをしていた事もありましたが、中学生でも人によっては恐怖心が強い選手はいました。
怖いと感じる選手には正直に言うように伝えて、慣れるまでは対人でやる練習を個別でパッドやタックルバッグにする事もありましたね。
しばらくやっていると徐々にできるようになってきます。
まぁ同じチームにいたら「他の子はできるのに」と思ってしまうのはわかりますが、テレビで見るような例えば先日の日本代表対オールブラックスの試合と比べたら、ちょっとタックルができるようなスクール生なんて、できない子と似たようなもんですよ笑
他の子は気にせずに少しずつステップを上がっていけばいいと思います。
保護者からの良さそうなアドバイス 3つ
アドバイスって難しい話で、やっている選手からすると経験者でない親に言われる事は「こっちの気持ちもわからんくせに」となりかねないし、逆に親が経験者だったとしても「自分だって大した選手じゃないじゃん。偉そうにいうなよ」と素直に受け取ってくれない可能性は大いにあると思います。
タックルに限らず、自分ができないことを自覚しているのに周りから色々言われるのは結構ストレスになりますよね笑
どちらかというと私もそんな感じで反発しがちな子どもだったので、そこは少し心配です。
が、何か参考になる事があると良いなと思うので、「タックルするまでの準備」という面から経験者じゃない親御さんがするアドバイスでよさそうな事を3つ挙げてみます。
1.安全なタックルを知る
→例えば子ども、コーチと「安全なタックルってどんなの?」という話をする。
親としては技術的な指導というよりも本人が理解できているのか確認する。
理解していてもできない事はあるけど、理解してなかったら絶対できない。
2.タックルがこわい理由を知る
→常に怖いのか?怖くない時もある?特に怖いと感じるのはどんな時?それが分かれば改善点が見つかるかも。
3.タックルが成功したら嬉しい事をイメージする。
→「チームメイトにめっちゃ褒められる」とか「相手を仰向けに倒すのが快感」とか、ポジティブな事を言葉にしてみる。今は「できないこと」にフォーカスしすぎているかもしれません。「できた」時に自分はどう感じるのか?それ味わいたくない?という方向に持って行けると良いのかなと思います。
上記が選手の中でクリアになっていると「じゃあ自分は◯◯をしよう」という次のステップへ進めるのかなと思います。
タックルが怖い選手へアドバイス
保護者向けには私から書きましたが、スピアーズの選手が子どもの頃はどうだったのか話を聞いてみました。
1.杉本博昭
Q1.ラグビーを始めた年齢
→小3
Q2.タックル怖い?
→昔はあったけど今は恐怖心ない。
Q3.タックルへの意識はいつ変わった?
→ロータックルをちゃんと始めたのは社会人から。
大学までは上に行っても止められていたからロータックルには苦手意識はあった。
社会人になってそれだけじゃ止められない現実に直面してタックルスキルを地道にやって、慣れてきた事で克服した。
2.岡田一平
Q1.ラグビーを始めた年齢
→中1
Q2.タックル怖い?
→怖かったのは始めた年の中1だけ
身体は小さかったけど、こわくてもとにかく突っ込んで、はじかれるのに慣れた。
中2はタックルする怖さより、タックルをミスして先輩に怒られる方が怖かった。
Q3.どうやったら慣れると思う?
→きれいに吹っ飛ばされるようになること。きれい=ちゃんとコース、芯に入れている。
話を聞く選手を間違えた・・・。大阪出身の二人は少し変わってる・・・。
この二人のケースは少し攻めすぎているかな?と思いますが、たくさんやって慣れるというのはそのうち必ず必要にはなってくるとは思います。
※ここから追加しました。
3.岡山 仙治
スピアーズFWで最も小さい168cmのチビフランカー
Q1.ラグビーを始めた年齢は?
→中1
Q2.タックル怖い?
→試合の1発目は怖い。
1発目に入れないと今後の出来が決まっちゃうこわさもある。
逆に良い感じに入れたら気分が乗ってく。
Q3.どんな時に怖さを感じる?
→強いキャリアーがいると。プレーの前には少し緊張する。始まったら行ける。
Q4.どうやって克服したの?
→中学から始まっちゃえば「いってまえ」ってかんじだったので、怖くても1歩踏み出す。
Q5.最近意識してることは?
→ミスして引きずることが多かったが、そのミスを受け入れて、次に何をするかを明確にすることを意識ている。
4.加藤一希
Q1.ラグビーを始めた年齢は?
→中1
Q2.タックル怖い?
→今は怖くない。
高2で酷い脳震盪して怖くなったけど、大学入る頃には怖くなくなった。
Q3.何で怖くなくなったの?
→タックル練習しまくった。
高校(中部大春日丘)で同期の姫野(トヨタヴェルブリッツ)と一対一してた。
⬆︎同期のよしみで共演しています(アサヒビールCMより引用)
Q4.克服してからは怖くないの?
→強い選手と出会うたびに怖さは出てくる。
当時よく練習試合をしていた朝日大にいたシオネ・ヴァイラヌ選手(卒業後、プレミアシップのサラセンズへ入団。現在、グラスゴーウォーリアーズ所属)が強くて・・・。
彼より強い日本人はいないから、彼にタックルできれば全員に行けると思って試合の度にチャレンジしていた。
以上
ありがとうございました。